かまたまRock 'n' Roll

地元のサッカークラブとロックンロールをこよなく愛するもの

樅ノ木は残った

少し昔話をします。
ちょうど9年前の今頃になります。

  • 当時の胸スポンサーの穴吹工務店が、経営破綻で撤退。
  • 四国リーグは2位に終わり、最後の望みをかけて挑んだ全社も敗退。地域決勝への道が絶たれる。
  • そして当時の監督であった羽中田さんが、要望する環境が用意できないことを理由として退任。


・・・などなど、わりとお先真っ暗な状況でした。「このクラブ。来年の今頃は存在しているんだろうか?」などと、当時のサポ仲間と真剣に頭抱えててたもんです。いやホント、笑いごっちゃなくw

それからしばらくして、新しい監督が決まった。

  • へー、北野さんっていう人か
  • 経歴は...監督経験1年で、J2最下位で解任か...
  • あーなるほど、地元出身の方なのか~(察し)
  • まあこれ以上下がることはないし、お手並み拝見といこうか


それが冒険の始まり。そしてその冒険が9年も続くことになるとは、当時の誰も思ってなかった。

その冒険がとうとう終わる...
JFL昇格、J2昇格、そして毎年のように降格筆頭にされながら、J2に5年持ちこたえた。もう存分に夢は見させてもらった。最終的な結果がどうなろうと、これまでの感謝の念が薄れることは決してない。

ただ、最下位&J3降格確定が、この冒険の締めくくりとしてはふさわしくない。あと2試合、一つでも多く勝って終わろう。
せめて最下位での退任という汚名は着せない。幸福な別れにはならなかったが、不幸な別れにしないための時間は、まだあるはず。



以下は2010年の四国リーグ最終節を終えて、当時の公式ホームページに公開されていた、北野監督の文章から。


Jリーグに昇格すれば、もっとお客さんが増えると思いますし、
徳島さんもお客さんが増える、愛媛さんも増える、岡山さんも増える。
そういうことによって、この地域のサッカーのレベルが上がる、
子供たちのレベルが上がる。
もしかしたら、昨日アルゼンチンに勝ちました(※)が、
今度はスペインに勝てるかもしれない。
だからこそ、我々は早く昇格しなければならない。
偉そうですけど、そういう大きいことまで、少し考えています。

(※)2010/10/8、サッカー日本代表がアルゼンチンに1-0で勝利したときのこと



今にして思えばこのカマタマーレというクラブは、北野という名のゆりかごに守られて、育てられてきた赤子のようなものだった思う。
今もあんまり変わっとらんような気もするがw、もういい加減一人立ちしなければならない。
北野さんが去ることでゼロからのスタートになるんじゃないか?ってビビってしまいそうだが、そんなはずはない。確かな土台は作られた。あとは県民たち自らが育て上げていくことができるはずだし、そうしなければならない。


問題は確かに山積みだけど、幾多の消滅の危機を乗り越えて、それでもこのカマタマーレ讃岐というクラブを未来に残し続ける。そして香川にサッカー文化が確かに根付いた時、それが北野監督の理想の実現となり、なによりの恩返しとなるだろう。その日の物語は、私たちの次代のものであるかもしれない。